「あ、明日はＡランチ食ってやるし」


おれは成田宏一。１５歳。
丁度半年前にひいた、宝くじ一等の１億を引き当てた成田宏一です。
入学式から一週間もしないうちに高校を転校した成田宏一です。
親が言うには、
「あんたがあてた一億なのよ！せっかくだから良い学校に行きましょう！大丈夫、貴方の学力でも入れます！」
で、せっかく受かった高校からわずか一週間もしないうちに転校が決まった。
おれの受験生活は一週間弱の為のものだった。
かえしてくれ中二からの夢。

それで、今いるのは「私立鳳学院」。
それなりに有名名門学校らしい。
お金もちばっかりってわけじゃあないけど、施設も校風も変わった感じ。
西洋洋館？みたいな。行ったこと無いけど。

なんでこんな説明口調かって？
きまってんじゃん。現実逃避。


だって「明日はＡランチ食ってやる」って言っただけだぜ。
Ａランチって言うのは流石お金持ち学校！ってメニューなんだよ。
２２５００円するんだけど、ちょっとノリで言ってみたかっただけなんだよ。
おれの月３５００円のお小遣い（一億の大半は貯金してる）では半年かかってもありつく事が出来ないメニューだよ。
ノリ、ただの「ノリ」で言っただけ。
お金持ちに対抗してみただけなんだって。
こんな大事になるなんて思ってなかったんだよ。





体中の空気が抜けるくらい、おれは目の前に並ぶ４名の生徒の前で、ため息を長く長くついた。






<-Back--Next->