ちょっとまてよ?
冷や汗が。流れる。口が締まらない。視線をそらせない。
ざわっと食堂内が騒ぐ。みんなおれに注目。
転校生だから、とかそんな理由じゃあない。
「め、飯が…ういてる!?」
その瞬間、ういているAランチが食堂の出入り口の扉までとんでいった。
慌てて椅子を倒して立ち上がり、追いかけると、扉が勝手に開く。
後ろの方でざわざわと声がする。笑い声も聞こえた。
おいおい、この学校ではこういう怪奇現象は「ざわざわ」程度な訳?
もっと「きゃー」とか「すげー」とか無い訳?
なんて考えているうちに、Aランチは廊下へ飛び出す。
みんなにとって、安いモンだろう2万なんて。
しかし、月3500円のお小遣いのおれにしちゃどうだ。
半月以上の苦労だぞっ!
「ま、まてっ25000円!」
廊下を猛スピードで駆け(飛び?)抜けるランチを追うおれ、成田宏一。
地下の食堂から階段を2つ駆け上がり、2Fについた。
さらに追いかけると突き当たりの部屋についた。
今度は手動のはずの扉が自動的に開き、Aランチが駆け(飛び?)込む。
おれは何の部屋かも確認せず、部屋に跳び込む。
入ったとたん、扉が大きな音を立てて閉められた。振り返っても勿論誰もいない。
「は…?え、な、何でドア…?め、飯は…?」
「あれ、宏一?何しちょるん?」
采斗の変わったしゃべり方。ちょっと安心して再び前を向くと…。
逆さまにういてる彼がいた。
「うわああああ!?」
「こら、さっちゃん。新人さんをいじめちゃあ「めっ」だよ!」
「その通りですよー采斗。ってあのー、先輩。本当にこの転入生君、あれ持ってるんですかー?」
「当然だ」
奥から声がする。
宙を飛んで奥へと戻っていく采斗と、それについていくように飛んでいるおれの飯。
おそるおそる前を見ると、黒いネクタイ一人、青いネクタイ2人がこっちを向いている。
鳳学園では、制服のネクタイの色で学年がわかるようになっている。
そのなかで3年生(黒ネクタイ)がおれを指さした。
「君、超能力って知ってるかい?」
と言ってきた。
「……は?」
多分だけど、おれの表情はやばかったと思う。
引きつってたろうな。おれの顔。
だってだぜ、ういてるんだよ。物体が。人間が。
しかもチョウノウリョク?
2年生(青いネクタイ)の金髪緑目美少年先輩2人と3年生の黒髪メガネ先輩がなんか楽しそうに微笑んでた。