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…っていうのは昨日の話。
今日のおれはもちろんAランチを食べるわけが無く、家でつくってきたおにぎりを4つ腹に詰め込む…予定だった。
ここは食堂で、目の前には采斗がAランチを待って、携帯をいじっていた。
「Aランチデー♪Aランチデー♪」
鼻歌まで歌って…本当にAランチ頼んだのかよ。
財布から…万札が2枚出てくるんだぞ…?高校生の財布かよ。
おれは目の前のおにぎりを見つめて切なくなった。
周囲を見ると、何人かはBランチやCランチを食べている。
さすがに全員が全員毎日Aランチというわけでは無いようだ。
ちゃんと弁当を持ってきている人もいる。
顔を正面に戻すと、急に采斗の顔色が変わった。
采斗は、大きな音を立てて立ち上がると、一息に、こう言った。
「こ、宏一!わりぃ!今メール入って、急用で昼休みつぶれちまった!食う時間ねえけん〜!そのなんか味の薄そうなのでいいからおにぎりと交換してくれ!」
「え、あ、え?」
ポカーンとしてるウチに、おれの手からおにぎりはもぎ取られ、ダッシュで外に出て行った采斗を見送った。

…ま、まて。いくら何でも事が早すぎだって。
え、えーっと。昨日おれが2万円で今日おにぎりが立ち上がって…あー落ち着け、オチツケ…。
「12番でお待ちの方ー!いらしゃいますかー?」
で、今は12時38分。
いる場所は食堂。今日は朝つくったおにぎりが昼飯のはず。…だった。
手元の番号には「12」と書かれた紙が。
呼ばれた方に紙を見せると、目の前に。
「はい、お待たせし致しました」
え、ええと…?
この…良いにおいの物は……。
「…こ、これ、食って良いのか…な?」
目の前には見たこともないようないかにも高そうなご飯が並んでいる。
これが、うわさの、Aランチ。25000円。Aランチデー。
え、え?…まじで!?
采斗の台詞には「交換」という単語があった。
マジで、これと、おにぎりを…?
頭の中が落ち着いた直後、食欲がわいてきた。
近くにあったスプーンとフォークを食器の近くに並べる。
でも箸の方が食べやすいかな。
なんて考えてると。
置いたはずのスプーンとフォークが無くなっていた。
辺りを探し見回すとどこにもない。
目を落とすと、愛しのAランチの姿もない。

「は…っ?」

もう一度辺りを見回すと…。
あり得ない光景が広がっていた。




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